岩手県の達増拓也知事(43)は30日、就任2年目に入る。民主党籍を持つ知事として「政権交代」を叫ぶなど積極的な政治的発言が目立つ。県政運営では対話を重視し、「無難なスタートを切った」と評価する声がある一方で、独自カラー不足との指摘もある。小沢一郎民主党代表を援護しながら、小沢氏とは異なり「調整」に徹する。達増県政の1年を検証する。(盛岡総局・岩崎泰之) ◇ 小躍りして喜んだのは昨年11月だった。自民党との連立協議をめぐる混乱で、小沢氏がいったん表明した代表辞意を撤回後、達増知事は「心の底から良かった」と満面の笑みで話した。 達増知事は就任以来、小沢氏を側面支援し、昨夏の衆院岩手1区補選では、自らの後継として人選した民主党候補と街頭を歩いて圧勝に導いた。道路特定財源の暫定税率失効後は「民主党の主張が実現した」と定例会見で歓迎した。 自民党県議からは「政権与党への敵対だ」と批判が上がるが、「行政の長としては不偏不党。政治家としては自由だ」と揺るがない。「内閣は総辞職して(民主党と)大連立を組むべきだ」と、ねじれ国会の打開策まで示してみせた。 民主党県連の佐々木順一幹事長は「小沢代表が訴える政党政治を地方から定着させるのが信念。今後も『県民党』へのくら替えはない」と見る。 ◇ 沢を登るような慎重な対応を県政運営では見せる。本年度の予算編成では、県職労との直接交渉を経て、職員給与の削減を実現させた。 2月の副知事人事は「びっくりすることはしない」と県幹部を起用。県議会の人事案提出前、各会派代表の携帯にじかに電話して理解を求める手堅い手法も取った。 今月初めの釜石市の山林火災では、職員の意見を受け入れ、即座に自衛隊に災害派遣を要請した。 「部下の意見を歓迎してくれる。トップダウン型だった増田寛也前知事(現総務相)とは違う」と県幹部。対話重視の姿勢は「県庁全体を明るくした」と持ち上げる。 ◇ 一本気。県庁内の評判からは、そんな性格が浮かび上がる。地域コミュニティーの再生にこだわり、市町村を懸命に歩き、住民組織に光を当てる「コミニュティ百選」などの事業を始めた。「決断後は絶対にぶれない」とある幹部は言う。 逆に柔軟さに欠けるとの見方も。県議会では用意された原稿を語尾まで読み上げ、「棒読み王子」(県内のある市長)などとの批判を気にした事務方が原稿を個条書きスタイルに変えたほど。 企業訪問に同席した自治体関係者は「沈黙が多く会話が弾まない。堅物すぎるのもいかがなものか」と苦言を呈する。 ◇ 郎という言葉には、家来の意味がある。批判的立場の関係者には、達増知事が常に小沢氏に仕えているように映る。 自民党県議が県内を4広域圏にする「四分の計」構想に触れ、「日本を300自治体にする小沢代表の考えだ。岩手を小沢氏の実験場にするのか」と批判したことがある。 達増知事は「真の地方自治を実現したい」などとかわしてきたが、自民党県連の千葉伝幹事長は「県民より政党を向いている」と批判を強める。 2月の県議会定例会。達増知事は突如、地方振興局を4つの広域振興局に再編する計画について「2010年4月の移行を目指す」と表明した。 振興局再編は「四分の計」を具現化する政策の柱だが、抵抗する市町村や県議も多い。 「理想の実現に向けて突き進む姿は代表の姿と重なる。知事は小沢代表になりたいのではないか」。民主党県議の一人は指摘する。◎一問一答/「東北の司令塔役」果たす 達増知事は河北新報社のインタビューに応じ、岩手県政の課題などについて語った。 ―就任から間もなく1年がたちます。 「世界経済の不安定化で日本経済の各種予測も下方修正され、県民生活を守ることが厳しくなっている。地域資源を生かした産業政策などを柱とする希望創造プランを実行しつつ、追加策を出す必要があり、常に緊張感を持ち続けている」 ―東芝の新半導体工場の北上市進出決定など、東北で企業誘致が盛んです。 「半導体と自動車の産業集積で、岩手は東北の司令塔役を果たしたい。今年は東北6県の『とうほく自動車産業集積連携会議』が岩手で開催予定で、産業集積の東北をアピールしたい。オール東北の連携が大事だ」 ―道州制はどう考えますか。 「まだ道州制が何なのか分からない。岩手の教員人事や道路計画などを仙台市でつくるのか。地方分権で、仙台に集約された国の権限を各県に分散させようと議論している中、正反対のことには賛成しかねる」 ―世界遺産登録を目指す「平泉の文化遺産」には、どんな期待を持っていますか。 「既に観光客の増加傾向がみられ、とても期待できる。平泉の浄土思想による平和サミットなどのアイデアは大賛成。県として平和をテーマに平泉で国際会議ができるよう尽力したい」 ―小沢一郎民主党代表をどう評価していますか。 「『小沢に天下を獲らせてみたい』という本があるが、そういうことを考えている。国民生活を一番真剣に考えている政治家であり、小選挙区制や党首討論の導入など、政治改革で一番の実績がある。小沢政権は分権型国家になり、権限や財源が岩手にも移される」 ―小沢氏のようになりたいですか。 「外務省時代の1993年、小沢さんが日本改造計画を出版し、その考えに共鳴した。凡100の政治家は有権者の意識に迎合して点数を稼ぐが、小沢さんはその意識を改革しようとする。学ぶことが多く、別格の存在だ」
2008年04月26日 河北新報
1年たったら何か成果をあげてほしいですね
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